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田中 雄一 准教授

私はテニュアトラック教員と言って、平成24年度から5年間に亘り文部科学省から研究資金が支援される、任期付きの准教授です。
研究者としての道を選ぶ決断をしたのはM1(前期博士課程1年)の12月頃でした。同じ研究室の仲間がリクナビに登録をし始めた時期で、自分も登録をしようかなと考えましたが、当時交際をしていた現在の妻から社会人(企業勤め)としての資質には向いていないとの指摘を受け、自分自身を見つめ直したのです。
子どもの頃からそうでしたが、性格的に人から指図されて行動することに従順になれない面があります。企業に就職するということは、企業の経営方針に従って行動の枠がはめられると思うので、自分の行動を自分自身で決めることには限界がありそうだと思ったのです。
採用されるか、されないかは別として、大学での研究者の道を選ぶことは、結果の責任は自分で背負わなければならないものの、自分の取り組みたい分野は自分自身で決められるとの思いが決め手になりました。結果的にはこれまで順調に進んでこられて、恵まれた環境にあることに感謝をしています。
研究の専門分野として信号処理を選んだのは、学部4年のときに配属された研究室の指導教授が信号処理の研究者だったことが起点で、以来ずっと取り組んでいます。
「信号処理」という言葉は大変に抽象的で、信号を数学的に加工する技術はすべて信号処理の範疇に入ってしまいます。例えば電気的にアナログの情報をゼロ・イチのデジタル信号に変えるのも信号処理だし、最近の携帯電話やスマホなどに組み込まれている画像処理エンジンや画像の圧縮も信号処理として扱われます。
いわゆる信号処理を研究しているという人の中には、アプリケーションを作ることに重きを置いている人もいますが、基本的にはもっと原理的な領域を考えるという人の方が多いです。そのため紙と鉛筆があれば理論の展開は進められるので、私にとってコンピュータはプログラミングやアルゴリズムが正しく機能するかを検証する道具という位置づけです。
したがって「情報工学」と聞いて想像されるような、プログラミングをバリバリやるという研究とは少し違うかもしれません。また、工学だけでなく、数学の研究者が信号処理に取り組んでいるケースも沢山あります。とは言え、決して頭が良くなければならないわけではなく、何か一つ得意な面を持っていれば誰もが取り組める世界です。
私は画像処理や画像の圧縮技術をメインに研究してきたのですが、例えば画像の圧縮を考えるときに、解像度を落とさずにファイルサイズを小さくすることができれば非常に喜ばれます。論文として書くときには画質を数値で評価しますが、根本的には圧縮した画像を見せたときに、いかに人の目を誤魔化すことができるか、というのが研究者の腕の見せどころとなります。
工学部への進学を目指す受験生の皆さんにとって、大学とは勉強することが楽しい、考えることが面白くなる場所である、という発見ができるところが魅力だと思います。
中学校や高校でも同じことが言えると思いますが、自分で調べて自分で考えて、正解にたどりついたり、他人とは違った結果を発見したりした時の達成感を覚えていますか?
大学ではもっと自由にもっと幅広く、取り組む範囲を自分で決められます。迷ったり悩んだりする時間も増えるでしょう。その分だけ求める答えに出会った時の喜びは大きいと思います。例えば誰も解いたことのない問題を見つけて、自分が本当に正解を得たのかどうかを検証する等、いろいろな場面が考えられます。
自由な発想、発見に出会うためには、直面するものから目線を離して、遊び心を持つことも大切です。大学生であることが、時に脱線をすることも許される特権であるかもしれません。視野を広げる、何にでも挑戦できる、やり直しができる期間でもあります。授業には必修科目がありますが、多くは選択科目の中から自分に合ったものを習得することができます。
ただし大学というところは、他人と同じことをしても何の意味も持ちません。他人が発想しなかったこと、見逃していたことに取り組んではじめて評価が得られる場所です。授業カリキュラムには、それぞれの分野における基礎知識が身に着くように構成されていますが、自分の武器、つまり他の人より優れたところは自分で見つける力が求められます。
そのためには、徹底して集中できる(没頭できる)科目を見つけだすことが大切です。
皆さん自身が真に打ち込める研究分野の見つかることを期待しています。

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